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ロックの部屋

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イン・エクセス『KICK』前編~80年代のロックは暗黒か!?~



元ロッキングオンの編集長で音楽評論家の渋谷陽一氏によると、80年代のロックは暗黒なのだそうだ。ロック的なるものとは反権力主義、純粋主義、理想主義を暴力衝動とセンチメンタリズムに乗せて表現する大衆表現という事だそうである。

80年代にはそういったバンドが少なかったという事が言いたいようである。確かに80年代はMTV世代と言われ、商業主義とコマーシャリズムの中で大物バンドは骨抜き状態に陥っていたようでもある。対極にはインディーズというのも地味ながらにもあったとは思うけどメジャー系ではロック的なるものはなかったですかね。そんな中でも【U2】は例外だったとも言っている。

他に80年代のメジャー系の大物バンドと言って思い付いたところでは【フォリナー】【ジャーニー】【トト】【ホール&オーツ】あたりか。

フォリナーは英米混成チームだし、いまいちコンセプト色は感じられないし、ジャーニー、トトに至っては産業ロックなんて馬鹿にされるような言葉が生まれてしまったし、ホール&オーツはソウル色が入って純ロックバンドとは言いがたい。英国のニューウェーブ系に目を移せば【デュラン・デュラン】はファン層が女の子寄りで偏っていたようだし、だいいち別ユニットでの活動が目立ったりで不安定。【スミス】もファン層は特殊だったような気もしてアメリカでは受けていないでしょ!?

《80年代のロックは暗黒》フーン悔しいけどそうかも……(笑)まぁね、70年代前期の【レッド・ツェッペリン】や【ピンク・フロイド】は巨大でカリスマでしたから。MTVなんかなくても、社会的なパワーは感じたな。「ロック聴いているなんておかしいんじゃない、不良だ」みたいな。

突如話は飛びます。(笑)オーストラリアのバンド【イン・エクセス】です。上にあげた80年代のバンド以外で大物だと言えるバンドにイン・エクセスも含まれるのではないかなと私は思うわけです。オーストラリアという地域性、状況からいってイギリスやアメリカのロックシーンからのしがらみ(影響)が少なく、自由にやりたいロックをやれていた連中ではないかと。

この『KICK』というアルバムのパワー感は物凄いと思う。ロックってほんとはもっとシンプルでストレートなものなんじゃないかなと考えさせられる。ロックの原点に立ち返った音、このアルバムは全世界で900万以上売れたという大ヒットアルバムです。

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イン・エクセス『KICK』後編~MTVの恩恵を受けたオーストラリアのバンド達~



MTVというのは、ワーナー・コミュニケーションとアメリカン・エクスプレス社が出資したケーブルテレビ向けのチャンネル供給会社が配給元となって作られた、ロック中心の音楽番組の事です。1981年の事でしたが、日本でもTVK系列でソニーミュージックテレヴィジョンがフジテレビ系列でも深夜MTVとして放送されました。

一番最初に流された映像が【バグルス】の「ラジオスターの悲劇」だそうです。この曲の内容は《あなたはラジオスターだったが、ビデオに殺された》といったもので、その後のMTVの影響を予見するような内容の歌詞でした。

それまでアメリカ以外の国のアーティストがアメリカで成功するには、レコードを出して宣伝のために、まめにコンサート行わなければならず、時間と労力と費用がかかるものだった。それを解決したのがプロモーション用のビデオを作成しMTVに流すことであった。

ヴィジュアル的に華やかだった【カルチャークラブ】や【デュラン・デュラン】音的に親しみやすく分かりやすかったエレクトロニックポップの【ヒューマン・リーグ】などがMTVに乗り成功した人達でしょう。

そしてオーストラリアのバンド達もMTVにより続々紹介されていった。【メン・アット・ワーク】【ミッドナイト・オイル】【イン・エクセス】【アイスハウス】【クラウデッド・ハウス】と。

中でもイン・エクセスは最も成功したバンドだった。『KICK』の大ヒットにより文字通りオーストラリアのNo.1バンドになった。アルバムからは「NEED YOU TONIGHT」が全米No.1、「DEVIL INSIDE」は全米No.2、「NEW SENSATION」が全米No.3に輝く。 

知られるきっかけはMTVとしても、ロックとして魅力がなければなんでもない。イン・エクセスが支持されたのは、【ローリングストーンズ】に近いシンプルなロックンロールに80年代的洗練さを持ち合わせていたから、テクノ系の音に飽きられてきたから……等ではないか。さらにマイケル・ハッチェンスの男っぽさと色気のあるヴォーカルも良かった。

サウンド的にもヒップホップの要素を取り入れたミックスヴァージョンの「NEW SENSATION」「GUN IN THE SKY」やダンスヴァージョンの「NEED YOU TONIGHT」ソウルフルな「MOVE ON」のミックスなども発表していて、時代の先取り的な事もやっている。私的に言ってもこれらのミックスヴァージョンは素晴らしくて大好きです。

そして1987年の『KICK』の大ヒットから1997年まで4・5枚のアルバム制作をして、1997年11月ホテルの一室でマイケル・ハッチェンスは自殺してしまったと言われています。
原因については書かれている記述を読んだことがないので知りません。

70年代はドラッグによる死、事故によるものが多かったような気がします。自殺で記憶にあるのは【バッド・フィンガー】のピート・ハム、【ニック・ドレイク】、【ジョイ・ディビジョン】のイアン・カーティスあたり。3者とも自ら死に追いつめていった重さや暗さ(神経質で生真面目、繊細な性格)を感じますが、マイケル・ハッチェンスは分かりません。聞き込み不足かもしれないけど。(知っている方は教えてください)

そういえば90年代はカート・コバーンもビリー・マッケンジー(ASSOCIATES)も自殺でした。





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